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ひとりひとりの、欲しいものを作れる存在になりたい。

   

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使えるもの、必要なものをつくる

(佐藤)昨年からこうしてインタビューしているのですが、実は立候補してくれたのは初めてなんです・・・

そうなんですか!?
わたしもインタビューをされたいわけではないんですが(笑)こういうものが出来ます、というのを前もって伝えられれば仕事がしやすいかなと思ってお願いしました。

(佐藤)こちらからお願いしたら応じてくださる方が多いのですが、こうして立候補してくださるのはすごくありがたいです。とても楽しみにしてきました。

夫の転勤で東京に来て、息子が生まれてからは、子育てでいっぱいいっぱいだったのですが、
少し手を離れてきて、自分の時間も取れるようになったので
これからお仕事をしていきたいなと思って、お声かけしました。

福岡ではどのようなお仕事をされていたんですか

専門学校でCADの非常勤講師とさくら荘という古道具屋さん等のお店がいくつか入っている古いアパートの一部屋を借りて、そこでお客さまからのの依頼を受けて、洋服の仕立て、リメイク、お直し、小物作りなどをしていました。

手ぬぐいやさんとの企画で、手ぬぐいで作る子ども服のオーダーメイド等もやっていました。

tenugui

(佐藤)夏は涼しそうですしとてもいいですね

わたしも息子に着せていて汗もよく吸うので、小さいお子さんにはおすすめだと思います。

小物で少し変わったものだと、マスキングテープの入れ物を定番で作っていました。
最初に依頼してくれたのが消しゴムハンコを彫る作家さんで、いつもマスキングテープを
5個ぐらい持ち歩いていてバラバラになってしまうから何か作ってと言われて。
ひとつ作ったら、形も面白いし他からも需要があって、よく作ったんですけど、
そういうのが楽しかったですね。

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確かにマスキングテープケースって1回買ったら一生使いそうですもんね。

カバンに入れる時のケースですね。
持ち歩かない人には必要ないんですけどね。

そういう一定のニーズに刺さるものってまだまだあるんだな・・・

他には文庫本のカバーだったり母子手帳カバーだったり
0系のドクターイエローが好きだという子にかばんを作ったり
息子が幼稚園で使うバッグは都営新宿線が良いというのでそれを作ったり

渋い(笑)

densha

ちゃんと使っていって何かの役に立ってるものを作りたいっていうことですね。

洋服を作るだけでなく『縫う』ことならなんでも、
お客さまひとりひとりの、欲しいものを作れる存在になりたいですね。

150人を超える工場にいました

縫製がお好きなんですね

そうですね。
洋服をデザインすることにはあまり興味が持てなかったんです。
子どもの頃から実用的なものばかり作っていました。専門学校も、実習の多い産業科でしたし。

縫製が好きで縫製工場に入り、8年半いたんですけど、
ラインで縫ったことはなくてサンプル縫製もほとんどなくて引け目を感じていました。

若いうちから色んなことをさせてくれる工場で
最初はCADで入って上海工場にも行ってたんです。トータルで3年ぐらい。

どのくらいの規模の工場ですか

国内だけで150人は超えますね。

入社して半年で、上海工場の立ち上げで、CADのオペレーターとして行ったんです。

そのあと一旦帰国して上海の担当をやったり、管理的な仕事もするようになって
またその1年後に行ってその時はCADを引き継ぐために現地の人に教えることをやってて
その時は日本人は、ほぼ20代の若い人ばかり5人で、無茶もしながらなんとかまわしてて。
貴重な経験させてもらいました。

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すごく良い工場さんですね

上海から帰って来てからは協力工場さんの窓口になったり、
パターンを見たり、検査したり、品質管理したり、というようなことをやりながらサンプルもたまに縫わせてもらってました。

工場にいる間は自分が縫ってない、縫えないっていう引け目があったんですけど
今思えば、縫っている時間がなかった分、それ以外の他のことを色々させてもらったので
出張とかも連れて行ってもらいましたし
だから工場だけではなくその国内上海の工場のことはもちろん
メーカーさんや縫製業界のことを勉強させてもらったと思います。

高い視座で見ることができるようになったということですね

おこがましいですけど。
今でも縫うことについては素材が難しいと縫えなかったり縫製職人ですと胸を張れないですけど
それよりも、いまひとりでも家でもやれることがあるのが有難いなぁと。
CAD、パターン、品質管理、直し、メーカーや協力工場とのやりとり、出張、上海駐在などいろんなことをさせてもらい、充実した8年半でした。

退職後に、CADの講師の仕事や、オーダーを受ける仕事を始めて、改めて工場で経験させてもらったことの大切さに気付いたんです。すごく感謝してます。

nutteを見て『これだ!』って思って

そうした経験があって、例えばネットショップとかされたりしないんですか。

だったらこういうのが欲しいと言われてから作るほうが楽しいですし効率もいいですね。

(佐藤)他の方もインタビュー『これが欲しいと言われてそれがぴったり合ったときに喜びを感じる』と。

そうですね。それはあります。

じゃあnutteはぴったりですね。

そうなんです。ほんとに出たてのときに新聞で見たんですけど『これだ!』って思って。

(佐藤)お家で仕事しているとお子さんと一緒に居られるというのが良いですよね。

でもいると全然できないです。笑
歩かないぐらいだったらいいんですけど。

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ただ全くお勤めに出られなかったりするじゃないですか。保育園も待っていたり。

うちも保育園は入れなかったんです。
今年から幼稚園に入園するのですが、幼稚園だと14時には帰って来ちゃうので
パートに出るのも難しかったりするんです。家にいれば時間ギリギリまでできるので、
(nutteのお仕事も)少しずつできるかなとは思っています。

お役に立てそうで嬉しいですね。

(佐藤)いずれは地元に帰られる予定もありますか

いまのところまだわからないですね。私の場合は夫の仕事次第なので。
工場の元同僚たちは、他所から来ててもそこで結婚して子供も産んで、
パートで長く続けてたりするケースもあるんですがアパレルの仕事を続けてる人は
だいたい東京にでてきて、メーカーのパタンナーをやったり生産をやったりしていますね。
自分でブランドを立ち上げる人もいたり。みなさん元々そのつもりで工場を経験しにきているんで、給料の問題だけでもなくて仕方のないことではありますが。
アパレルの仕事は、縫うより前のことをやろうと思うと、どうしても東京になっちゃうので。

そうすると良い縫い手でもみんな縫製はできなくて、若い方も全然いなくなっちゃってるんですよね。nutteで皆さんが稼いでくれて若い方に縫製に入ってきて欲しいですね。便利に使っていただいたらいいと思います。東京にいる限り保育園にお子さんを入れるのも難しいですし、体の調子が悪い方も家で縫製されて収入が得られたらいいなと思いますし。

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そうですね。
どこに行ったとしても、ミシンを持って行って、どこででも仕事ができたらいいなと思います。

東レの CADがクラウドでできるようになったときも、自宅で仕事が受けられるのかもしれないと思って嬉しかったのですがnutteを見つけたときも同じぐらい、可能性を感じて嬉しくなりました。
地方でもできるっていうのはありがたいです。

もっと縫製の仕事が日本に帰ってきてほしい

5年後10年後の未来はどんな風になっていたいですか

そうですね・・・

(佐藤)お子さんが縫製やりたいって言ったらどうしますか?

え・・・言うかな・・・。
もちろん教えてと言われたら教えますけど、
でもやっぱり男の子には仕事としては勧めないかも。笑
決して儲かりはしないですね。楽しければいいですけど。

わたしも反対しますね。笑

5年後10年後はもっと日本に縫製の仕事が帰ってきていてほしいなって思います。
私が勤めていた工場は上海工場があるんですが上海もどんどん人件費が高くなってて、
今までやってた仕事は今度は東南アジアに流れていて。

勤めていた工場は上海にありながらも日本人がいるし
国内工場も通すので準国内ということで工賃が高めの仕事も取れているのですが
結局そうやって日本がそうだったように
どんどん安い方に流れて仕事がなくなっていってしまう・・・
こういう繰り返しはきりがないと思うんです。

なんでもそうですが、たくさん作ってたくさん売るっていうことが
だんだん難しくなってきているし、洋服も必要な分だけ作って、
ちゃんと消費していくという感じになっていけばいいなと。

こういうnutteのようなシステムが主流になるようになっていってほしいです。

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今はまた仕事自体は日本に戻ってきてはいるんですが、こんどはもう受け入れ先がないですもんね。ここ10年で縫製の仕事を日本で作っていかなければ日本に工場がなくなっていくんではないかなと。
我々は工場ではないですが技術はつないでいけるように、がんばっていかなければいけないなと思っています。

大きな工場にいたので、大量生産に対する違和感はずっとあって。
もっとマンツーマンでというか、
『こういうのが欲しい』じゃあ『こんなのどう?』って作って
気に入ってもらってずっと長く着てもらえるっていうような、洋服に限らず、小物とかでも。
そういうのがいいなって思います。もちろんそれは自分が使うものでも。

そういう仕事がしていければいいなって思っています。

osibori

 

 

取材後記


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取材でよく『私の時代はいろんなことを経験できたので』ということを伺いますが、chikuchikubonさんがいらした工場はいまの時代には珍しい、まさにそういう場所だったのだと感じます。その経験を活かしてこれから活躍されるのが楽しみです。
お子さんは、お邪魔している間ずっと戦隊もののDVDを観て、たまに進行具合を教えてくれるとってもかわいいお利口さんでした。

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