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羊毛フェルト素材も立体も自由自在な作品たち

   

今回お話を伺うのは今年で10年目を迎える羊毛フェルトのお教室TeyneyFeltを運営される羊毛フェルト作家のsaekoさん。
お話を伺う前に、まずはお教室の方たちが作品を展示する羊毛フェルト展へ取材に行きました

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会場に所狭しと並ぶフェルト作品の数々!!
フェルト作家さんにも少しインタビューしてみました。

:DEKOCHIFELTさん
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飼っているボストンテリアの作品をメインに出展しています。
イベントやホームページ等で販売もしている商品です。
テレビで見て羊毛フェルトを知って、独学で始めましたが
やればやるほどわからないことが増えたのでお教室に通って学びました。
製作時間はモノに寄るけれど1日1~2個。やればやるほど時間はかけられます。
教える事よりは自分で作っていく事をメインにしたいと思っています。

:シュガリーKさん
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まだまだ始めたばかりですが器用さがそこまで要求されないので取っつきやすいです。
作るのは小物であれば30分かからないですが、構想やデザイン、材料を用意する時間がかかります。
動物のマスコットシリーズで自分の個性が出せるようなものができたら楽しいだろうなと思っています。

:マリーロさん
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羊毛フェルトは6〜7年、TeyneyFeltの一員として一緒にお教室もやっています。
フェルトの魅力は絵を描くのと、粘土で立体的なものをつくるのとの中間ぐらいのものを作る事ができること。
作品はマーメイドのマスコットをメインで作っています。
作るのも好きなんですが教えるのも楽しくて
作りながら喜んでくれているのがわかると、それをみていて私も楽しくなります。
子どもからお年寄りまで専用の針をもつことさえできれば誰でもできるので楽しんでいただきたいなと思います。

DSCF4192フェルトの仮装グッズで調子に乗る佐藤・・・。
フェルト作品は本当に様々で、立体的なモノだけでなく平面に写真のように作られたモノなどがあったり、まるで生きているかのようなリアルな動物もいます。見ればみるほどフェルトってどうなってるの!?と思う作品がたくさん!
改めてsaekoさんにお話をお聞きしました。

きっかけは海外のエッセイ『羊の毛を刈り取ってクッションカバーを作った』と・・・

saeko

始められたきっかけはどういう経緯ですか?

羊毛フェルトは海外の方が書いたエッセイがあって
その本の一節に『羊の毛を刈り取ってクッションカバーを作った』という1文があって
それで、なんだろうそれって思って、手芸屋さんに行って羊毛が売っていたので見よう見まねでやってみました。

私の場合はリメイクで洋服を作っていたってかんじなんですが
洋服は工程が大変で型紙をおこしてライン引いて切るっていう
それがちょっと合わなくてもっと感覚的にできる方が好きで
リメイクの方に移ったんですが

独学ですか?

本を読んだり、洋裁は少し先生に習ったりしたこともあるんですが
洋裁の方は全然縁がないです。

ご趣味として縫製をされていてそこからリメイクをされてさらに羊毛フェルトに出会われたと。

ものづくりが好きですね。
部屋に座っていて、ぼーっとしてカーテンを変えたいなとか
棚があったらかわいいなとかこの棚の色はこんなのがいいなとか
そこから作り出す感じです。

洋服もパーティーがあるときに着たい洋服が無くて
明日だからどうしようというときに、リメイクして着ていったりっていうのが始まりだったんですが
羊毛は思い立ったらすぐにできるので。
リメイクするときにここに黄色と黒の何かが欲しいってなったときに
その布がないと買いに行かなければならないですが、
羊毛は原料があればそれを並べて生地にすることができて
そこに使えるっていう・・・けっこう柔軟なんです。

平面のシート状のものは一般的には水フェルトと言われるものなんですが

水を使うんですか

そうなんです。洗濯機でセーターが縮絨しちゃうみたいに。
セーター洗って縮んじゃったっていうのをここでやるってかんじです。

ニードルってギザギザの針で刺していく方法もあるんですが
どちらも繊維を絡めて縮絨させるんですけど
立体にしていくか
お水を使って洗剤と振動で縮ませていく
どちらも絡ませていくんですが
1つは水を使って1つは針のギザギザの切り込みだけで絡ませていく。

水の方だと面は作りやすいんですかね。

そうですね、あとは目が詰まる感じです。

複数の材料を絡ませていくこともできるということですね

できます。まだ私が始めた15年くらい前はあまり出回ってなかったので試行錯誤で。
習うところも無く、インターネットもやっと普及してきたところだったのでやり方を調べる手段もなくて。

ほぼ独学で研究されて

研究というよりは好きにいろいろ試してた感じですね。
当時はニードル(針)もなくて。
最初は機械の部品としてあったものを自分で分解して1本の針にして作っていました。

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知れば知るほど羊の良さがわかるんです

いま生徒さんはどのくらいいらっしゃいますか?

コースが色々あるんですけど
ティーチャーコースが8期生ですね。

教えるとなるとほんとに学ぶことが多くて
自分ができるやり方が来てくださる方にはできなかったりとか
逆に『ひょい』って違うやり方をされていて『そんなやり方があるんだ!』みたいなこともあります。
私自身も教えながら学んでいった。皆さんに育ててもらったっていう感じです。

ティーチャーコースではお教室を開くとなると聞かれることもあるので、羊毛講座という羊の生態を学びます。
羊の種類と、フリース状の・・・モモンガみたいにペローンと1枚の状態になっているのをフリースというんですが、それを並べてここが頭で、ここがお尻で、ここが高いとかここが肥料になるとかそういうったものを見てもらったり
紡いで毛糸にしたりとか草木染めや化学染めで染めてみたりとかそういったことを一通りやります。
知れば知るほど羊の良さがわかるんです。

(佐藤)前々から気になってたんですが毛は刈らないとだめなんですよね?

そうなんです伸び続けるんです

(佐藤)最初から毛を刈る前提で生きてるんですか?

私たちがウールって呼んでるのは産毛なんですよ。
外毛に硬いのがあるんですけど、原種は換毛されていました。
硬くて絨毯にしか使えなかったので改良されて産毛のみになっているんです。
そうすると換毛しないので人間が刈り取るようになったんです。
だからふわふわでやわらかいですね。

刈っても生えてくるんですね

そうです人間の髪の毛と同じで。1年に1回刈り取るってかんじです。

どのくらいの種類を取り扱っているんですか?

メリノ・シェットランド・ロムニー・・・
羊の毛を刈り取って油を落とすんですね
天然の油を洗い落として、その加減でしっとりしたりとか少し残したりとかするんですけど
原毛といって毛を刈り取った状態で油がついているものがあって、それはけっこうな種類のストックがあります。

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洗い落とし方や染め方によって無限の種類になるんですね。

羊毛(スカード)は、櫛で梳かすと伸びるんですが同じ白の作品でも、羊毛の種類によって細かい感じで変わってきます。

もともとまだらな毛だったりとか。
チリチリを残すかどうか、油をどのくらい落とすかによって変わってきます。
例えば雪山に行かれる方とか油をほぼ落とさない状態でマフラーとか手袋を作られるんですって。
油はお水を弾くので。

防水性ですね

ウールはほんとに天然のものなので通気性も良くて保温力もあるんですね。
スリッパとかはすごく保温力もあるのに蒸れないんです。

素材の作り方によって用途が変わってくるというイメージですね。

生地とか洋服として考えると素材からこだわってできます。
染めも自由に、作ったものを染めることも、先に染めてから作ることもできます。
あとは色と色を混ぜると無限大に色も作れますし。

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そうですよね。幅の限界があるとはいえ生地状にして裁断して縫うこともできますよね。

立体にも仕上げていくこともできます。
細く縒(よ)っていけば糸にもなるので編むこともできます
布の途中で外側だけ拾いながら編んだり。
糸としても使えるし、ロープ状のバッグなどの取っ手みたいなしっかりとしたものもできますね。

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自分なりに手を加えてオリジナルにして欲しい

これからはどんな活動をされるんでしょうか
例えばお客様がいらして、その方の日常生活だったりで使う何かを作っていくとか

そうですね。日常のものもそうですし、ストールだったり自分なりの配色で作ったりとか。

じゃあお洋服状のものを作るという方向性はアリなんですね。

もちろん量産のものもそれなりに良いですし私もたくさん持ってたりもしますが。

フェルトだと量産はできないですし機能と味がありますもんね

細かい形などのオーダーメイドがでできますから。

例えば色を混ぜるんですが、お水でこすると1枚の布状になるのでシルクを混ぜたりですとか自由に
シンプルにもできますし、例えば生地にしてポケットとしてセーターにつけるとかそういう提案をしていきたいです。

生地としてもつくれるし、お洋服も作れるし、オブジェも作れるということですね。

そうですね。ストールにして例えばここから立体のものが出てるとか、そういうのもできちゃう。

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なぜお教室をやっているかというと生徒さんという見方をしていなくて先生という風にも呼ばないでと。
みなさんに1人の作家として、知らないことがあるならテクニックをお伝えするけれども、作品は自由に作ってもらうっていうことをやりたくて。
羊毛フェルトというのは浮かんだアイディアを形にしやすいんですよね。
放置しておいてもそのまますぐ固まってしまうとかそういうこともありません。
『ここに水玉が欲しい』って少し羊毛をさせばそれもつくし、
セーターに穴が空いちゃったっていうのだってそこに自分なりのワンポイントを入れることもできるし自分で手が加えられる。

浮かんだアイディアを自分なりに手を加えてオリジナルにして欲しいっていう想いがあってのお教室だったんです。

レッスンでも『これをつくりましょう』というのはやっていなくて
クマでも4タイプのクマを見せて今日の気分はなあにって。
クマだからって茶色と白ではなくて、青でも緑でもなんでもいいよっていうのをやっているんですね。
見本があるとどうしてもそれを真似てしまうんですけどあえて見本を見せずに
自分の作品を見てみてっていうとどんどんアイディアが出てくるそういうのをお教室ではやりたいと。

作家としてはもっと自由な
その方に会うその方のイメージでその方のものを作っていけるイメージでできれば良いと思っています。
羊毛フェルトでビーズやレースを使ってウエディングドレスも作ってみたいですね。

取材後記


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ふわふわとやさしい羊毛の雰囲気にぴったりなsaekoさん。
概念に囚われたり、押し付けによる<教育>ではなくて、
<自由な発想を育てる>ことをとても大事にされていると感じます。
また、その自由さはご自身の作風や思いついたら作るというライフスタイルにもなっているのだろうと思います。

TeyneyFeltさんの詳しい情報は→こちらから!

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