職人を大切にしたい | nutte登録職人さんの日常や想い、縫製業界の今を丁寧に発信します

nutte meister media

縫製の面白さを伝えたい

   

shiori

元縫製職人である代表伊藤と、職人さんの対談形式で行うインタビュー。縫製職人の中では若手であるShioriさんですが、企画から縫製工場まで様々な経験の上で独立されています。自然に囲まれた高台にある素敵な工房になっているご自宅でお話を伺いました。

「洋服のプロ」になりたい

nutteを見つけてくださったきっかけはなんだったんでしょう

前の会社を辞めてすぐだったのですが、
私は自分で企画して自分で売っていきたいなっていうのが夢だったので、それをやりたいけどどうしたらいいか分からない。バイトでもしながら少しずつネットで売ろうかななんて思っていた時に、会社の先輩からnutteを紹介されました。

いま、縫製のテストを皆さんにしていただいているのですが、Shioriさんはとても点数が高かったんですよ。

品質管理って大変ですよね。
経験があっても高い意識でやっていないと品質を保つのは難しいと思います。

メイドインジャパンだと、高い品質を作らなければいけない。

そのかわり、どうしても高い値段になってしまうっていうことを分かってもらいたいですね。

私が前に働いていた工場は上代で15万円ほどの製品を作っているプレタブランドの工場だったんです。
15万円の商品の工賃が1万数千円くらいでした。その工賃は、(一般的な現状からは)かなり高い方だと思うのですが、ただ、それでも工場は成り立たなかったんです。

もちろん私たち社員の実力不足もありますが。
自分達は毎日遅くまで残ってやっても全然成り立ちませんでした。

せっかく「技術を身に付けたい」っていう思いで若い人が来ても、みんなやめてしまっていました。

やっと残った縫製技術を身につけた人でも、体を壊したり、「こんな生活は続けられないから」と、結婚を機に辞めてしまう方も多くて。

縫える人が居なくなると、さらにもっと縫い上がらなくなり、苦しくなる。
そんな負のスパイラルでした。

若い人で縫える人が育たないんです。

どんな経緯で独立されたんですか

最初は、エスニック系の会社で企画、デザインをしていました。

でも服の構造をきちんと理解していない状態でデザイン画だけの指示をしても、
工場を困らせてしまうし、結果的に自分の納得するものが出来上がってこないので、
まずは、自分がきちんと理解しないとだめだなと思うようになりました。

ちゃんと洋服のプロになりたい、
自分にきちんとした実力がほしい、と思いました。

まず製品レベルで縫えるようになりたいと思って、どうせやるなら一流のところでやりたいと、プレタブランドの工場に行ったのが5年ほど前です。
入った時は先輩もいたんですけど、どんどん辞めていってしまって、気づいたら自分が縫製場で一番上の立場になってしまっていました。
でもその分やりがいもありました。

縫製技術は3年で身に付けようと思っていたんですけど、3年なんかじゃ到底身につかなくて。奥が深すぎると思いました。
先輩から教わった技術や知識は、本当にかけがえのないもので、
着心地や、美しさを追求した技術が身につけられる縫製業は、大変でしたけれど、とても面白かったです。

夢中でやっていたら、気付いたら5年経っていました。
その頃には会社の経営がぎりぎりの状態になっていて・・・どうにか改善しようとはしてみたんですが。力不足でした。

今の縫製現場の状況だと、本当に職人気質で
「給料なんていりません。弟子として雇って下さい。」
くらいの気持ちじゃないと成り立たないのでは無いかと思います。

給料も少ないし、労働環境も厳しいところが多いと思うので。

世間の目が、労働条件に厳しくなってきている今の時代だと、なかなか、こういった環境の職業を続けていくのは難しいのかなと思います。

下が育たないから取るのをやめる。残ったメンバーで泥沼の状態を続けていく状況が続き、状況は、最悪のところまで悪くなってしまいました。

2

前にいらした工場は閉められてしまったんですか?

そうですね、いまは工場は辞めてしまったたんですけど、お直しも出来るセレクトショップとして続けているそうです。

この技術だけで生きていけるんだ

ミシンにタイマーを置いてあるあたりが工場でやってらした感じがしますね

縫製って時間との戦いじゃないですか。
でも学校の授業だとゆっくり丁寧につくるので、実務とは世界が全然違いますよね。

学校でも<縫う技術>か<売れる理論>か。仕事として生きていくすべを与えていかなければならいですよね。

現場の縫製業って時間との戦いなんです。
1分、1秒をいかにして縮めるかっていう。

でも学校の授業だとゆっくり丁寧につくるので、実務とは世界が全然違いますよね。
学校は、現場で活きる技術や知識を学べる場であって欲しいなと思います。

同じように専門学校に行っていた人たちでも、アパレルとは関係ない職についたりする人は多くいました。
特に、縫製業は人気があまり無かったと思います。

ですが、縫製ができる、手に職がある、ってすごい武器になります。
逆に、何かしらの武器が無いと、独立してやっていくのは難しいと思うんです。

私も工場では本当にキツイ思いをしたけど、その縫製をやっていた5年間があったから今こうしてお話をさせてもらっていますし、この技術だけで生きていけるんだっていうのもありますし。

一生ものの技術が身につけられた縫製の現場にいられた事は、本当に良かったと思います。

せっかく服飾系という専門分野に行くと決めたのなら、
何かしらの、「自分はコレ」っていう技術を身に付けたらいいなって思いますね。

3

時給1000円になるだけでも革命的

まずは今やっている職人さんが食べれるようになってくれればなと思ってやっています。

今のnutteの感じだったらじゅうぶんいけますよね。

いやまだまだですね

今までどんなにがんばっても時給1000円に行かなかったので、時給1000円にいくところまでいくだけでも革命的ですよ。

従来の縫製業では、対価が安すぎて、モチベーションも体力も長続きしないんですよね。この先いつか良くなるっていう未来がいままでの縫製業界にはなかったと思います。

その点で、ヌッテは明るい未来があると感じました。

前にいた会社もそうですが、職人が育つ未来だったり給料が上がる未来だったり、そういう未来があったら頑張れるけど、なかったからきついですよね。
本当にこのままだと若い人が縫製に就かず、さらに工場がつぶれていってしまったら、縫える人が育つ環境が無くなってしまいます。

職人が減ってしまって、メイドインジャパンがなくなってしまうのが嫌だなって思っていました。

nutteには職人を育てるところもがんばって欲しいと期待しています。

nutteで年収一千万の人を出すのが夢ですね

そしたら縫製したいって人も出てくるかもしれませんね。

今までは職人さんという人たちが前にでていく事がなかったので、我々はどんどん職人さんに前にでて欲しいと思っているんです。

やる事いっぱいですね。縫製業界にとってすごく嬉しいことですね。

縫製のイメージっていまは内職チックなところがあるんですが、自分のライフスタイルを守ってしっかり稼げる人が出てくると、憧れでやってみたいなっていう人がでてくるんじゃないかなって。

nutteがその架け橋になりますよね。

いままで『縫製職人』をピックアップしてくれることなんて全然なくて。
nutteが「服作れるってすごいんだぞ」ってやってくれているので、そういう未来に近づいてきているんじゃないかなって思いますね。

1
カジュアルな可愛い服を作りたかったというShioriさん。ネットで販売すると、すぐに売れてしまうほど人気のワンピース。ご自身も着用してインタビューを受けて下さいました。

目標とプライド

学生時代に就職先を考えている時は、
結婚とか、子育て、介護っていう、
長い目で見たライフスタイルを全然考えていなかったので、いまは「自宅でもできるこの仕事をやっていてラッキー」だって思うようになりました。

縫製は本当に昔からある在宅ワークですからね。

日本人ってものづくりが得意ですよね。ヌッテのようなサービスがあるのは日本人の几帳面さと信頼感があっての事だと思います。
ネットを通じて簡単に、でも商業レベルの高度なやり取りが行われているので。

周りの人が辞めていってしまう状況の中で、縫製を続けられる理由はなんだったんですか?

6

技術を身につけるために、今は修行しているんだっていう思いがあったからですね。

身内には「辞めろ」って言われ続けたんですけど、「ここでやめたら技術も中途半端だし、一体何になれるの?自分で決めた道なんだ」

という、意思を貫くプライドがありました。
その先の目標もありましたし。

これからの夢はありますか?

自分の作ったものを自分で売りたいっていうのが小さい頃からの夢でした。

人と話すのも好きだし、自分で作ったものを自分でお勧めできたらいいなと思っていて。

今はネット販売などでその夢の第一段階が突破しつつあるのかなと思います。

新たに出来た夢が、
会社で縫製をやっていて、縫製の面白さを伝えたいっていう思いや、メイドインジャパンを無くしたくないという思いが強くなりました。

工場でも、上の立場になって技術を教えている時に、
若い人が真剣に技術を身につけたいっていう態度で一生懸命覚えて、
成長していく後輩を見て、
とても喜びを感じました。

自分もこれから、まだまだ成長して、
将来は、若い人たちに教えることも出来たらいいなと思っています。

教え方は、学校のような感じではなく、実際の仕事を行いながら伝えていきたいなって。

今工場が無くなっているので、
育てる場所がなくなってしまうっていうのが不安です。

今は縫製工賃が安い海外での生産が多くなっていて、日本人は管理する側になってきていますが、
日本人の良さが無くなってしまうようで怖いですね。

メイドインジャパンの、高い品質の洋服が、ありつづけてほしと思います。

5

 

取材後記


7

現在は、素敵な家族にかこまれながら縫製をつづけているShioriさん。結婚をしても続けられることが嬉しいとおしゃっていたShioriさんの仕事に対する思いを強く感じることが出来ました。

 - Featured Posts デザイン レディース 縫製

 -

RELATED POSTS