職人を大切にしたい | nutte登録職人さんの日常や想い、縫製業界の今を丁寧に発信します

nutte meister media

『作れることがすごい』からはじまった縫製への道

   

swan

お話を伺ったのは新しく構えられたアトリエ。ご自身で少しずつカスタマイズしているところという。

窓の外から『ここは何?』なんて聞かれます

広いアトリエですね!いつからここを借りてらっしゃるんですか?

5月からです。
nutteさんのお仕事もそのころからしていて、私もとても心強かったです。
暑いころにはタオル首に巻いてやってました(笑)。
生地も置きっぱなしで裁断もやりやすいですし、これからミシンも増やしていく予定です。

これだけの工房を持ってだと従業員の方も雇えるくらいですね

夢ですよね。仲間ができるというのは。
できたらこれからはお店のようにしていきたいなと思っています。
今でも道から『ここは何?』って聞かれたり、
お直しとか持ってきてくださる方もいるんです。

確かにお店の感じはありますよね。

丈直せるの?なんて試着室もないのにここでお着替えしてなんてこともあります。
鏡もくれたりとか。

7

お直し屋さんいいですね。

まわりの人からもお願いされたりします。
お店っぽくしたりしたいんですが
まだまだ1人だとなかなか手が回らなくて。
窓際にドレスとか置いたらいいかなって。

後々は街に店舗兼アトリエを持って何人か雇ってなんてできたら良いですよね。

休みの日はお直し屋さんでバイトしてました

2

この業界に入ったきっかけはなんですか?

高校が服飾科のあるところで、そこからやりたいと思っていて、
本当は仕立て屋さんに勤めたかったんですけど、やっぱり無くて。
先生の勧めもあって専門学校に行きました。

神戸の専門学校に通っていたんですが、私が最後の卒業生でクラスには6人くらいしかいなかったです。
東京にはまだ同じ名前の専門学校があるのですが、私たちはアットホームな感じでやっていました。

卒業後は縫製の仕事がしたかったんですが、募集もそもそも少なくて、
また先生の勧めでパタンナーとして子ども服の会社に入りました。
そこからアパレル人生がはじまった感じですね。

あと、学生時代はお直しのアルバイトをしていて
勤め始めてからも縫製の仕事をやりたかったので内緒で休みの日にバイトを続けていました。

企画のお仕事よりも縫うお仕事をやりたかったのですか?

そのときはそうですね。

お直しの仕事は学生時代に2年、そのあとも子ども服の会社に勤めてるときも4年と、結局ずっと行ってました。

パタンナーとしても4年ですか?

パタンナーは2年でそのあとはデザイナーとしてアシスタント含め企画の方に2年いました。
そこで色々揉まれたり、迷ったりしているときに縫製の仕事が見つかって転職しました。
社交ダンス衣装の会社に4年勤めて
そこで初めてみっちり縫製の仕事をしたという感じです。
そこで初めて縫製を丸1日できるという生活になりました。

アパレル業界の中でもなぜ縫製が良いんですか?

・・・それがなんかわかんないんですよね。

高校のときもそんなに縫う時間はなくて、ファッションアート科っていうところだったので、縫製というよりはアート。
絵を描いたりとか陶芸とかもいろいろあって美術の高校でした。
でもなんでかわかんないんですけどミシンで縫えるっていうのが、
服を作れるのがすごいなっていうのが最初で。ただ、『作れることがすごい』って。
専門学校に入って課題で自分のスカートとか作るじゃないですか。
それがとにかく楽しかったんですよね。

洋服の世界で縫う方を選ばれることってあまり多くはないと思うんですが

なんでなんですかね・・・ちょっとわからないです(笑)。
ほんとは仕立て屋に弟子入りとかしたかったです。
先生に『若い頃はみんな住み込みで働いて楽しかった。1日中仕事をしてた。』って聞いて、そういうのに憧れがありました。

お給料もぶっちゃけ企画のほうがよかったりしますよね

それも言われました。子ども服のパタンナーをやってたときに、1人だけ縫製のおばちゃんがいたんです。
私はそのおばちゃんのポジションが欲しかったんですけど、そこは募集してないんですよね。
だんだん減っていって、最後1人だけになって、すっごい綺麗に縫うんですよ。サンプルとか。

『そんなふうになりたい』って言ったら
『縫製なんて安いしやめとき』っていつも言われてました。

『家でも一人でもできるんだ』って

衣装の会社にいらっしゃる時は衣装クリエーターだったんですね

そうですね。
そこで4年働いて独立しました。

衣装の会社を辞められたあとは

はじめは家庭で内職みたいな感じで。
いまはダンスの衣装と、以前からお付き合いのあったお仕事や、女性芸人さんの衣装も作ったりしています。

一般的な大人のお洋服というよりは

衣装とかのほうが・・・。

私も衣装だったのでなんか普通のお洋服って
裏地つけるのめんどくさいとか(笑)洗濯とかも考えるとね。

衣装は好きにできるから楽しいですね。

金属手で縫いつけようが自由みたいな。衣装の縫い方って洋服とはまた違いますからね。

直しやすいようにとか。

そうそう。縫い手順があえて違ったりしますね。
会社を独立したキッカケはなんだったのですか?

縫製の仕事は激務で体調を崩してやめたので
もともと家でドレスなんて『縫おう』という発想もなく
正直考えてなかったんです。
実家に帰って1ヶ月は寝たきりのような生活だったので。
『このままではいけない』と思っているときに
たまたまダンスの先生から電話で衣装製作のお話をもらって
『時間がどれだけかかってもいいから、失敗してもいいから作ってみて。』と言われて
相手も私が体調を崩していたからやる気になったらいいんじゃないかっていう気持ちで声をかけてくださったと思うんですけど
そこでミシンも少し増やしてボディも買ったりして。
それができて自分でもびっくりして『家でも一人でもできるんだ』って。

1

すると辞められたのは体調を崩してしまったんですね。

子ども服の会社を辞めたときも体調不良だったんですよね。
不規則なので自分で考える余裕もなくなったり。
アパレルの仕事してたらしょうがない。
みんな好きだから頑張るんですけどずっとはできない。と思ってしまって。

実際一人でやるには腹を括るのが大変ですよね。会社にいらしたときのお給料はいかがでしたか?

新卒はもうかなり低かったですね。
だんだん上がっていたんですが、転職してからまたガクッと下がってそこからがきつかったです。
そのときは休みもなく。
今は自分でやっているので雇う側の大変さもわかるんですが。

3

nutteも提供できるお仕事が増えてきていて、少しずつ職人さんに貢献でき始めてはいるのですが。

たしかに案件の量が全然違いますよね。日に日にアップされているし。
リピートの依頼もあったりしてすごく良い形で出会えて嬉しいです。
自分が今まで知らなかった仕事とかも。
(自分が応募しなくても)この仕事このあとどうなったんだろうって気になるのもあります(笑)。

自分のものは作らないけど趣味兼仕事ですね

(佐藤)私自身が案件をあげた時には、相談チャットでまんがの話をしたりして縫製とは別のコミュニケーションが生まれたりなんてこともあったんですが、他の方でもそういうのありますか。

そう!あれめちゃくちゃ楽しかったです!!
そこまではないんですが『デザインがツボです』とかそいうので盛り上がったりはしました。

仕様書ひとつでもすごくわかりやすくファイリングして送ってくださる方もいて
すごいなって嬉しいなって思ってもわざわざメッセージでするほどでもないかな、なんて考えます。
お客様のことがちゃんとわかった方が単純に気持ちが入りますよね。

実際に職人さん側からアドバイスするべきことも発生すると思います。
信頼関係ができてきたら良いですよね。

(佐藤)趣味はありますか?縫製以外になにか。

うーん・・・・
・・・・・・・・・・・

(佐藤)お買い物してると縫い方見たりとか。

やっぱり仕様は見ちゃいますね。
あと生地とかリボンとか小物があると買っちゃいます。

(佐藤)ご自身のものは作ったりしますか?

作らないんですよね。これが。
直したりはしますけど。作るのはないですね。

私もそうです。自分のは作らないんですよね。

サンプルとかたまに『見せてください』とか言われるんですけど
ないんですよ手元に。全部お客さんのところにいって。

わかる!見本とか全然テンション上がらないんですよね。

やっぱり言われたものを作るのが好きなんですかね。
これが欲しいとか言われて。

自分用のって仕事のテンションにならないですね。
納品して仕事したっていう・・・

反応とかも含めてね。

実際あります?ご自身のお洋服を作られたり。

1回だけありますけど。
縫うの好きなんですけどね。
でも夢中になることは縫うことなんです。趣味も特に他にはないんですけど。

やっぱり人のためですよね。自分の服を作っても人のためにならないなと思うと。

あと期待されるのも嬉しいですね。
『この間すごい綺麗に縫ってくれてありがとうございます。またお願いします。』なんて言われると
絶対綺麗にやろう!って。がんばろうって。
乗せてもらえる(笑)

やっぱり縫うのがお好きなんですね。

趣味兼仕事ですね。
忙しい時は休みもなしですし。
縫う人ってそういう感じなんですかね。

4

でも、めっちゃ感じますよ。伊藤さんやnutteが『職人を大事にしたい』と思ってくれているのは感じてます。
滅多にないじゃないですかそういうこと。

nutteが職人さんにメリットを享受してもらえるようになったら、職人さんがちゃんとお客様にその分を返してくださると期待しているので。依頼者の方へnutteが直接できることは少ないですけど、職人さんがちゃんと。

nutteさんが間に入ってると送料とか大変だろうなって思ったりするんですが
納品のときに(運営統括の)村田さんが『大変だったでしょう』なんて言ってくださってりして救われることもあります。

nutteでは依頼者側との関係でどちらが上ということは決してなくて、職人さんも良いお仕事を選んでいってもらえれば良いと思ってます。

 

 

取材後記


6
取材よりも前に、佐藤の無茶振り案件を華麗にこなしてくださったswanさん。『服を作るのが<なんしか>楽しかった』と言います。この関西人特有のニュアンスは、なぜか縫製にあこがれ、なぜか縫製職人でいるswanさんをよく表していると感じました。
ちなみに・・・ダンスを自分ではやったことないけど見ていると華やかで憧れるとおっしゃっていましたよ。

 - Featured Posts デザイン ドレス パタンナー レディース 子ども服 縫製

 -

RELATED POSTS